水道水を前提として、一般に赤水発生の原因について考えると、それは配管系統の腐食による赤錆に起因する。給水用の鋼管は水のpHが酸性側に寄るほど、腐食し易く、また水中の塩素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、残留塩素、有機物等が多いと腐食が促進される。硬度成分が多いと腐食は抑制されるが、一般の水道水は硬度が低い。また水道水中の固形成分が増加すると、腐食が促進される。
水中の酸素濃度が一定の場合、腐食速度は、水温10℃上る毎に約2倍になり、溶存酸素が逃げる事が可能な開放容器中では80℃までは腐食速度は温度と共に増大する。その他、水との接触時間、管内の流速などが関係する。蓄積した鉄錆は瞬間的な流量の増大により一時に流出することがある。
このように赤水の原因は主として鉄配管の腐食によると考えられる。実際には配管中の水の滞留時間が長い場合と、水温が高くpHが低い時に発生することが多い。
その他、錆、土砂、塵芥などの不溶性物質が管の内壁に留ると、それらに覆われた部分は管内壁の金属面に達する酸素の量が少く、覆われていない部分との間に酸素濃度の差ができて、通気差電池を構成し腐食が進行する。
赤水は外観上、目でみただけで不快感を与えるだけでなく、次の様な障害を起す事が多い。
(1)上水道に鉄や、マンガンが多いと赤水や黒水が出て、洗面器を汚したり、洗濯物を着色したりする。
(2)お茶を入れるとき、水に鉄が含まれていると茶のタンニン成分と反応してタンニン酸鉄を生じ黒色に呈する。
(3)酒造用水では微量の鉄や、マンガンが頼著な悪影響をもたらす。(サリチル酸鉄として0.05mg/l以上で酒の色が濃くなる)
(4)魚肉製品製造工場では、鉄は魚肉の洗浄晒中や保存中に、ある種の蛋白と反応して魚肉を褐変させる。その他食品工業ではとくに鉄、マンガンが品質劣化の最大原因となる。
(5)赤水を使用した場合、製氷では色のついた氷が出来る。
また、DPE店では水洗いした写真が赤く変色する。とくにカラー写真では致命的な悪影響をうける。
前述のように予め除鉄、除マンガン処理をした水、あるいは鉄やマンガンを含まなくて処理をする必要のない水、何れの水の場合でも、給水管に鉄管を使用すれば腐食により赤水を発生する。ただ水質や水の使用状況の相違によって給水施設の使用を開始してから赤水の発生を見るまでの期間に長短がある。この赤水防止の対策のひとつとしては防錆剤の注入による方法がある。
防錆剤の注入は現用の給水設備をそのまま使用し、防錆剤の注入装置を新たに購入して付加すればよいので、工事量も少なく、給水の中断も極く短時間ですみ、経費も多額を要しない。配管等の腐食が著しく、錆こぶにより管の内径が細くなり、あるいは錆が管の内壁に堆積して赤水が激しく、水の出が悪いような場合には、防錆剤の注入のみでは赤水を防止するのに長期を要することが考えられるのでこのような場合は配管の洗浄が有効となる。しかしこの洗浄だけでは赤水防止対策とならないので、配管を洗浄したあと防錆剤を注入し赤水を防止する。
関連ページ
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・給水用防錆剤に関する法令
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